第1話~始まり~

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とても大きく、年期のはいった古い家の縁側に、 一人の少女が座っていた。 少女の手には、直径20cm程の鏡が握られていた。 膝に置かれ、仰向けになっている鏡には、 夜空に浮かぶ満月が映っていた。 「水鏡の神よ。我の声に応え、我が願いを叶えたまえー―」 鏡と同じように夜空を見つめていた少女は、 不意に鏡に視線を移すとそう呟くように口にする。 沈黙…。 静寂だけが辺りを包み込んだ。 「はぁ…。」 暫く鏡をじっと見つめていた少女は、 何も変わらぬ周囲の様子に溜め息を漏らした。 「そうよね…。 いくらこの鏡が水鏡の神を宿したとされる御神体でも、何も起きないよね。 仮に本当に神様が宿っていたとしても、 神様だって引っ越しするだろうし…。 それに…。」 少女はそこで言葉を区切り、また空へ視線を戻す。 頭の中にいつかの祖母の声が蘇ってきた。 `
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