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少女には条件に背いた覚えはなかった。
もう一度鏡に視線を戻し、そっと撫でる。
そして、「やっぱり…」と、閉じた口を再び開く。
「たった一度でも、願いを叶えてもらえるなんて、
そんな都合の良いこと
起こるわけない…。」
諦め、少女が立ち上がろうとした時、
鏡の表面に水が張り、
鏡に映った満月がくにゃりと少し歪み、
光を放った。
途端に、少女の周りは夜の暗い闇ではなく
白い世界へと変わっていった。
光が消えた頃、そこに少女の姿はなかった。
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