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神の問いを聞いた瞬間、
少女は先程とは打って変わって
少し目を伏せた。
そして、視線を戻すと
少し重く口を開いた。
「私は、数ヶ月前に
この世界で唯一私を心から愛し、
本当の心で見つめてくれる人を亡くしました。
私に生きて幸せになってほしい。
それがその人の最期の言葉でした。
その言葉を胸に、私はこの数ヶ月を過ごして来ました。
でも…、
私の周りに集まる人は、
欲望に笑顔という仮面を被った偽善者と、
私を人と見ず、忌み嫌う者だけです。」
少女の瞳には涙が溜まっていた。
神は何も言わず、
ただ少女の言葉に耳を傾けていた。
少女は溜まった涙を拭い去ると
話しを続ける。
「私は祖母の遺言を叶えたい。
それが今まで私を愛し、育ててくれた祖母への
唯一の恩返しになると思うんです。
だけど…、
今の私には幸せになるどころか
信じられる人の1人もいない…。
私に本当の心で向き合って
接してくれる人もいないんです…。
そもそも祖母がこの世を去った時に、
私は幸せと感じる気持ちを失ってしまいました。
この数ヶ月、感じたのは負の感情だけ…。
かといって、私には生を諦めることもできません。
祖母の意志に背くことになるし、
生きたくても生きることができない人達に失礼だから。
私は生きて幸せを見つけたいんです。
それが祖母の為にも、
私の為にもなると信じてるから。
だけど、今のままではそんな日は訪れない。
この数ヶ月で私はそう思いました。
だから、ほんの少しでもいいから変化がほしいんです。」
いつの間にか頬に流れていた涙を拭うと、
少女は肩を竦め
「こんな事神様に頼むなんて、私の甘えかもですけど💦」
と、苦笑いを浮かべながら言った。
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