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神は少女が話し終わるまで黙って聞いていた。
そして、少女が話し終わったのをみると口を開いた。
「其方の願いを叶えよう。」
突然のその言葉に少女は驚き、見開いた目で神を見た。
「ほ、本当、ですか…?」
「ああ。
其方の願いへの想いの強さがよく伝わってきたからな。」
少女は勢いよくガバッと頭を下げ、神に感謝した。
「あ、ありがとうございます!」
そんな少女の様子に神は僅かに目を優しく細めた。
が、すぐに元の表情に戻ると、再び口を開いた。
「しかし、1つ問題がある。」
少女は、神のその言葉に下げていた頭を上げ、聞き返した。
「問題、ですか?」
「そうだ。
其方の願いは
今の日常、生活に変化を与えること。
周りの者達の其方に対する態度と心を改めさせたいわけでもなく、
其方の心を理解し支えてくれる者を今すぐ欲しているわけでもない。
ただ、変化がほしいだけ。
…そうだろう?」
神の問い掛けに少女は頷くことで答える。
「そうなると、どう変化をさせるかが問題なんだ。
下手をすれば、
今よりも過酷な人生を歩むだけになる。」
「あ…。」
神の言葉で
自分がそこまで考えていなかったことに
ようやく気付いた。
ただ変化が欲しい。
だけど、それはピンからキリまである。
簡単なようで、難しい願いだった。
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