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「お兄ちゃん遅いッ!」
「うおっ……!」
着替えを済ませ、玄関へ向かうと、妹の亜由美が怒鳴ってきた。
「あのな、亜由美。遅くなったのは悪かったけど、怒鳴るなな? ほら、時間も時間だし」
「誰のせいでこの時間に出るハメになったと思ってるのよ……ホラもういくよ」
「あ、あー、すまんけどな、亜由美」
「今度は何よ」
「ええと……先にトイレ、行かせてくれ」
「先に済ませときなさいよそんなの……もういいわ、行きましょ土井さん」
ため息をつきつつ、航平を強引に引っ張っていく亜由美。
うーん、さすがに機嫌が良くないらしい。
「……起きるために見たいドラマも見ずに早く寝たからなぁ、アイツ」
つーか荷物置いていきやがったし。
とりあえず大急ぎでトイレを済ましてもって行くか。
遅くなってまた川にでも突き落とされたらたまったもんじゃないからな。
やれやれ、なんて思いつつ、俺はトイレに入り便座に腰をかけるのだった。
……続く。
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