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「予言者…?」
真は耳を疑った。ドッペルゲンガーなら自分の力に合った二つ名を授けられる。『予言者』未来予知でも出来ると言うのか。
「ご立派な名前だな」
「その名の通りだからな。頭脳、思考、いや特殊型に特化したドッペルゲンガーと言えばいいか?」
能力は未知。ただ予言するだけならば問題は無いと思うが…そういう訳にはいかないだろう。
「予言者は下水道を好むのか?」
真は葉淵をバカにしたように言う。薄暗く、異臭がするのは下水のせいだった。
「…身を隠しているだけだ、いや身を隠していた…か」
葉淵はスッと立ち上がった。黒い装束で身を隠し姿は見えないが体格はかなり大きい。2メートル程あるのでは無いだろうか。
「なんだ…見つかってたのかよ」
真は後ろからの声に驚き、振り向いた。すでに囲まれていた。後ろには金髪のドッペルゲンガーが立ってる。顔立ちからして日本人では無いだろう。
「神野 真か!ナイスタイミング!」
「…2体だと?」
予想外だった。もしや3体以上いるのだろうか。それとも…また何か別の手を使ったのか。真の頭に不安がよぎった。
「ヨロシクなァ…オレはアンドリュー・ディモン、ニつ名は“食獣”」
「…訳分かんないニつ名だ」
アンドリューは笑った。誰もが予想にしないその恐るべき能力。真はすぐに目の当たりにする事になる。
「確かにな。だがオレのニつ名もそのまんまでよ。しかもまた凄いんだオレ」
アンドリューは自画自賛をしながら準備運動を始めたドッペルゲンガー特有の不可解な動きで。
「では…やろうかアンドリュー。今日のエサは大物だ」
葉淵は懐からハンドガンを取り出した。経口は余り大きくなく、軽量化されている。動きに自信があるのだろうか。
「準備はいいか?神野 真。始まったら…殺すか殺されるかだぜ?」
「オレはいつでも構わないが?お前らこそ後悔するなよ」
葉淵とアンドリューはニヤリと笑う。2対1という不利な状況の中、『神野 真』1人での戦いが幕を開けた。
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