新影―シュツゲン―

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メキメキッ! 「がぁぁっ!」 ドッペルゲンガーは叫んだ。ディンの一撃は重く、斬れないものの痛みが持続していた。 「こんなもんかよ。本気無しで殺せんな」 「はぁっ…テメェェ!」 ディンは挑発しながら敵を攻撃する。ドッペルゲンガーはただ狂ったように襲いかかるだけだった。 「そんなんじゃオレを殺せねぇぜ!?」 「充分負けてんじゃねーか」 ディンは笑う。ドッペルゲンガーは何度も殴り、蹴ろうとするが大剣の様な物で防がれる。 「…ワンパターンだな。馬鹿な証拠だ。もういい、すぐに楽にしてやる」 ディンはドッペルゲンガーと距離をおいた。 カチッ スイッチを押した様な音。 その瞬間、ディンの持っていた大剣の様な物の横から無数の小さな刃が顔をだした。やがてそれは刀身を回り出す。 ギャギャギャギャ!! ドッペルゲンガーは顔を真っ青にした。 それはまるで大剣の形をしたチェンソー。とても禍々しく、ディンの殺気を具現化した様だった。あんなものに触れたらひとたまりも無い事だけが分かる。 「ちっ…きしょおおぉぉ!!」 ドッペルゲンガーは谷の岩場を駆けて逃げていく。ディンはニヤリと笑い、その姿を追い続ける。 「無様だなァ…ま、ここで終わりだッ!」 あと少しで追い付くという距離でチェンソーの様な大剣を後ろに構えた。ドッペルゲンガーは悲鳴をあげながら必死に逃げる。 「死ねぇェェ!!!」 ディンは走りながら武器を前に思いっきり振った。邪魔な岩を削り裂き、目標へと近づいていく。 「や…や…やめてくれぇぇ!!」 ガガガガガガガガ…ギャァァン! 岩を削り、ドッペルゲンガーさえも裂いた。何処を通り、殺したのかハッキリと分かる位に見事に全てを削り取る。ドッペルゲンガーはやがて鍵だけを残して消えていった。 「刀?鬼人との戦いで砕け散ったと聞いたが?」 「新調したんだよ…」 なんともお喋りなドッペルゲンガーだろうか。慎はペースに飲まれていた。 「へぇ~…安そう。刀は銘刀じゃねぇとなっ」 ドッペルゲンガーも抜刀する。次の瞬間、お互いに斬りかかった。 「マッジ気に入らねぇお前!」 「そりゃお互い様だろッ!」 お互い嫌悪しながら刀を振るう。 慎は少し違和感を感じていた。今まで『何か』が違うと。ドッペルゲンガーの感じはする。しかし今対峙している者は今まで戦った奴等、真とも違う『何か』を持っていた。
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