再起―フタタビ―

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戦争から約2ヵ月。 あまり実感は沸かない。 戦争以来、本物、いや人間達はドッペルゲンガーとは戦わず、ただ見守る日々が続いていた。 “二重身殺し”達は思う。 この平和が永遠に続けば―と 「真。西部の探索行って来たぞ」 ドッペルゲンガー達の世界、元・鬼人達の要塞の一室においてディンの声が響き渡った。真が椅子を回し、ディンの方へと振向く。 「ご苦労、ディン。…いなかったか?」 ディンは真の言葉に頷いた。ディンの背後には人間を失ったドッペルゲンガー達が並んでいる。 「ああ、解散していいぞ。オレは真と話があるからな」 ドッペルゲンガー達はぞろぞろと部屋を出て行く。ディンは皆が完全に居なくなった事を確認し、真に問掛けた。 「本当に居るのか?そんなのがよ」 「ああ…絶対にいる。オレがギルディンに会う前に、オレに接触をはかって来たのを覚えてる」 ディンは溜め息をつきながら質問を続けた。 「赤髪の剣士ねぇ…。赤髪なら目立つと思うぜ?もう死んだとかは無いか?」 「さぁな。ただ…危険な奴だという事は確かだろう。目を見たから分かる」 真は息を飲みながら言った。ディンはまるで子供の遊びに付き合う感覚。 「あ~あ!人手が欲しいね。ソイツ探して2ヵ月!オレとドッペルゲンガー達じゃキツいもんあるっつの!誰かいないかね!」 真は呆れた様にディンを見ていた。何と言うか幼いが、言葉は事実、辛いものがあるだろう。世界の広さを2人は知らない。 「…慎逹なら協力してくれるだろうが…戦争後だしアイツ等なりに忙しいだろう?」 ディンはその言葉を聞いてニヤリと笑った。悪巧みをしている。真はすぐに何を考えているのかを悟った。真にとっての失言。 「なぁに…♪いい事思い付いたぜ…真。チョイ行って来るわ」 ディンはそう言残し出て行った。真は止めようとしたがすでに遅い。真は溜め息をつき、仕方なくその場に腰をかけた。 悪いな、慎。当分また世話になりそうだ。
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