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青空。
日が差すが、夏程暑く無かった。
夏が過ぎ、暖かい様な寒い様な微妙な季節の秋になった。
慎達は相変わらず変わらぬ平穏で、とても退屈な生活を送っていた。
「神野く~ん?…ダメね。またかしら…いい加減…起きなさい!」
「うぐっ!?」
慎は頭に強い衝撃を感じ、驚き飛び起きる。そこは学校の教室。周りは皆笑っていた。
「幸せそうでしたね~?」
先生は広辞苑を持ち、笑いながら慎に聞いた。笑いの下に怒りを隠しているが見えている。
紹介が遅れた。
慎を叩いた先生は佐野が死亡し、代わって来た工藤 千佳(くどう ちか)先生だ。担当教科は現文。佐野は数学だったのに何故か代理が現文。
見た目は短い茶髪、美人でまだ25歳前後だろう。皆に好かれている先生だ。ドッペルゲンガーとの関わりは無いと見える。
「いや…工藤サン、おはようござ」
「いい加減寝るなっ!」
広辞苑が慎を襲った。慎は寝ぼけて躱す暇もなく、頭に直撃する。
バタリ(死)。
「…先生、慎君倒れましたよ」
灯が少し心配そうに言った。先生は困る表情をしながらも前に戻る。
「ほっときゃ起きるでしょ!さぁ授業再会!」
先生は慎を無視し、授業を始めた。慎は意識が無いのにもかかわらず思う。
無視すんなら起こすなよ(怒)。
…ゴーン
授業終了の合図が鳴った。未だに慎は寝ていた。いや、のびていた。
「ホラ…帰りますよ~?」
プスッ
「いてぇっ!」
額に針を刺され飛び上がる。前には早紀、満、灯の姿。慎は一瞬にして状況を理解した。
「終わった?」
3人は頷く。外は日が沈もうとしていた。かれこれ3時間はのびていたらしい。
せめて誰か起こせよ(淋)。
「よく寝ますね…呆れますよ」
「ほっとけ」
早紀の言葉を流す様に慎は答えた。
「でもさ~工藤先生も慎の事で遊んでるよな。いつもやられてるじゃん」
満の言葉は的を獲ている。確かに遊ばれている気がした。美人だから悪い気はしないが。
「そんなんじゃバカになる一方だよ?」
灯の言葉が胸に刺さる。だが現在進行形のバカには問題無い。別れる所まで来ると慎、早紀と満、灯に別れて帰る。
早紀と2人で歩いていると前に見た事ある姿が目に入って来た。やれやれ、会うと必ず問題が起きそうな奴だ。
「久しぶりだな、慎、早紀」
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