再起―フタタビ―

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何を言い出すんだ。敵ならまだしも『仲間に気をつけろ』とは何かあるのだろうか。 「悪い…よく意味が…」 「言葉の通り…だそうです」 早紀が言った言葉から大体は予想がついた。 「裏切り者がいるって事か?」 「さぁ…?可能性がある、と言ったところでしょう。もしくは…仲間の姿をしたドッペルゲンガーですね」 ドッペルゲンガーなら納得はいく。まだ鬼人達の他にもいたとさっきディンが言っていたからだ。 「一樹は?」 「先にディンの処へ向かいました。忠告があり、すぐにディンと調べに行きましたから。私達も明日には行きますが…神野さんは?」 「行くさ。学校よか世界のが大事だ」 慎は電話越しに笑った。鬼人を倒して以来、自信に満ち溢れている自分。誰にも負ける気がしない。 「もしかしたら敵がコチラにいるかも知れません。応援が明日来ます。その内の1人が私達と一緒に行きます。とりあえず…今日も気をつけてください」 敵が来ているかも知れないという言葉に、少し不安を抱いた。自分の事ではなく、友人達の事が。 「…分かった。明日7時位にアパートに行くよ」 そう言って電話をきった。 『仲間に気をつけろ』 心の中でこだまする様に何度も思い出した。そのままの意味であったら大変な事だろう。慎はそうならない事を祈るしか無かった。まだ見ぬ仲間は多い。その中の何人が本当の味方なのだろうか。 「おはよ、慎」 アパートの前で優が出迎えた。準備万端、そう見えた姿。 「おう。もう行くのか?」 久々に真に会える。慎は会える嬉しさとこれから起きる『何か』への不安が混ざり、複雑な気分だった。 「覚悟はいい?また行く事になるけど…」 優に早紀と同じ様な質問をされた。しかし答えは決まっている。変えるつもりなど全く無かった。 「覚悟なら…出来てる。ちょっと不安だけど…皆が力を合わせりゃどうにかなんだろ?」 優は溜め息をつきながらも、慎と同じ気持ちだったらしく笑みが微かに見えていた。 「じゃ…行こっか。皆、準備出来てるからさ。紹介しないといけないコ達もいるし」 慎は頷き、2人はアパートの裏へと歩いて行った。
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