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アパートの裏へと歩いた。早紀と医療班の人達が見知らぬ人影と話していた。
「あ、神野さん。やっと来ましたね」
早紀が気付くと周りにいた他の奴等もコチラを向いた。早紀と医療班を抜き、新顔が3人。その内1人が慎の方へと歩いて来た。
「よろしく。神野 慎だな?オレは浅見 優弥(あさみ ゆうや)だ。一緒に行く事になってる」
優弥はそう言って手を差出した。見た感じ好青年と言ったところだろう。年は同い年位で黒髪のショートカット、そしてイケメン。慎は非が無いか探しながら握手をした。
「北見 功(きたみ こう)…」
茶髪のショートカットで無口な青年。肉付きが良く、スポーツが得意そうな男だった。戦闘には向いているだろう。
「西野 葵(にしの あおい)です!守りは任せて!よろしくね~慎君♪」
続けて気軽に挨拶をしたフードを被った金髪のロングの少女。見た感じ活発、平均より少し小柄な子だった。
「オレ等が残り、守る…安心しろ」
功が慎を見て言ったが、内心少し不安だった。人数的に、そしてまだ力量の分からない2人だからだ。
「じゃ…揃ったし行こっか?」
優が皆に問掛けた。慎、早紀、優弥は頷き、自分達の持っていた鍵を取り出した。
「柳サン…持ってたのか?」
「ん?ああ…コレはディンに貰いました。『来る時困るだろ』って昨日。それと…柳サンじゃ無くて早紀でいいですよ?皆そうですし」
そう言えばなぜ早紀だけはさん付けだったのだろう?優は最初から優だったのに。一樹もディンも同じなのに。
慎は自分に疑問を投げ掛けた。今考えなくてもいい疑問。全く関係の無い疑問だった。
「ホラ!ぼさっとしない!行くよ!?」
優に怒られると、慎は軽く頷いて鍵を前に構えた。
『カチャリ』
鍵を回す。扉が現れると中から光が漏れ出した。まるで戦争から戻って来た時の様に。
「前は暗かったのにな…」
慎は呟き、前へ進み出した。4人は光に包まれ、人間世界を後にした。
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