第一話 ネコが来た

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 「イズミさ~ん、皿洗い終わったもな」  店の中からわたしを呼んでいるのは、アルバイトで雇ったネコだ。  いくら生まれてからずっと店の様子を見てきたとは言え、一人でやるのは無理だろうと、母親との相談の結果、アルバイトを雇う事にしたのだ。  だけど店の前に張ったアルバイト募集の張り紙を持って現れたのは、体長一メートルはある、少し太り気味の白い毛をした二足歩行するネコだった。  はじめ見たときは、「中の人の悪ふざけがすぎるな」と思ったのだけど、白いネコは「中の人などいませんもな」と言い切った。  「なんでネコが喋れるの?」  「世の中は不思議な事でいっぱいなんだもな」  「なんで二足歩行なの?」  「ネコが二足歩行しちゃいけないと、いつ国会で決まったんだもな?」  「名前は?」  「まだないもな」
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