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第二話 『三味線になった』
わたしと、シロにとっての最初のお客はサバじいだった。
サバじいは昔からのなじみのお客さんで、店が開店すると同時にやってきて、6人しか座れないカウンターの一番奥の席に座る。
もう何年もその席にサバじい以外のお客さんが座っているのを見た事がなかった。
「お母さん、どう?だいぶ良くなったかい?」
「えぇ、だいぶ良くなったけど、まだとうぶんは店に立つのはむりみたい」
母の事や、店を休んでいた間の事など、しばらく合っていなかったサバじいとそれまでの時間を埋めるくらい話をした。
「イズミさん、とり皮焼けましたもな」
その間、シロはサバじいの注文を受けて、黙々と串ものを焼いている。
「で、あのでかいネコはなんだい?喋るし」
「シロって言うのよ、アルバイトで雇ったの」
「そうかい、そうかい、シロさん、これから毎日来るんでよろしく」
シロは串ものを焼きながら、恥ずかしそうに会釈した。
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