27人が本棚に入れています
本棚に追加
店が開いてから3時間も経つと、他のお客さん達もやってきて、カウンター六席、テーブル席二つしかない「ありがとう」の店内はギュウギュウ詰めになった。
「イズミちゃん、ビール二つ!」
「はい!ただいま」
わたしは忙しく狭い店の中を動き回る。
シロも額に汗しながら焼き物を焼いている。
店を休んでいる間、店の中は暗くジットリとした空気が満ちていたけど、今、店の中は明るく、熱気に満ちている。
わたしはこの空気が好きなのだ。
「ありがとう」
最後のお客さんが店を出た。
最後と言っても、サバじいはまだいるのだけど。
「サバじい、そろそろ閉めるわよ」
「もうそんな時間か…楽しいと時間が過ぎるのが早いね」
「サバじい、ずっとビールを飲んでいるのに、ちっとも酔わないのね」
「俺は死人だからねぇ…」
そんな事をサバじいは笑いながら言った。
最初のコメントを投稿しよう!