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路上が凍り始めたある日のこと。
「…………綺麗だ。なんでこんなに綺麗なんだ。」
彼の目の前に居る…いえ、あるのは一枚のキャンバス。
それも真っ黒に塗りつぶされただけの。
本当にそれだけです。
彼は部屋の中にいて、椅子に座り、目の前にあるイーゼル(キャンバスを支える台)に掛けられた一枚の絵を見て一人悶えているんです。
「綺麗…いや、美人?艶やか。可愛い。……ああぁあぁぁあぁかわいいかわいいカワイイカワイイ。可愛すぎて吐きそう。ああぁあぁぁぁああぁぁぁあぁあ……抜ける。」
…はい、このとっても残念すぎるのが本作品の主人公、白雪 緘無(シラユキ カンナ)。
嘘じゃないですよ?
そんなドッキリ企画みたいなものなんてありませんからね。事実です。
ディス イズ ノンフィクション。
「何でこんなに可愛いんだよ。誘ってんの?そうだろ?…2人っきりだからって、まだ昼だし……こんな時間帯に非常識だ…」
何言ってんだい。あんた頭の方が非常識ですよ。
「あぁもう。そんな目で見るなって…!」
念のため言っておきますが、彼が悶えている相手は絵ですからね?
目なんてねぇんだよ。
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