Episode.1 秘密の花園の観賞法

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  路上が凍り始めたある日のこと。 「…………綺麗だ。なんでこんなに綺麗なんだ。」 彼の目の前に居る…いえ、あるのは一枚のキャンバス。 それも真っ黒に塗りつぶされただけの。 本当にそれだけです。 彼は部屋の中にいて、椅子に座り、目の前にあるイーゼル(キャンバスを支える台)に掛けられた一枚の絵を見て一人悶えているんです。 「綺麗…いや、美人?艶やか。可愛い。……ああぁあぁぁあぁかわいいかわいいカワイイカワイイ。可愛すぎて吐きそう。ああぁあぁぁぁああぁぁぁあぁあ……抜ける。」 …はい、このとっても残念すぎるのが本作品の主人公、白雪 緘無(シラユキ カンナ)。 嘘じゃないですよ? そんなドッキリ企画みたいなものなんてありませんからね。事実です。 ディス イズ ノンフィクション。 「何でこんなに可愛いんだよ。誘ってんの?そうだろ?…2人っきりだからって、まだ昼だし……こんな時間帯に非常識だ…」 何言ってんだい。あんた頭の方が非常識ですよ。 「あぁもう。そんな目で見るなって…!」 念のため言っておきますが、彼が悶えている相手は絵ですからね? 目なんてねぇんだよ。  
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