一章

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生徒達で溢れる廊下を横切り、目的地に向かう。じきに中間テストということで、部活動は現在全面的に休止期間。 そのせいか普段より廊下に残っている生徒の数が心なしか多く感じる。 いや、絶対に多い。人込みが嫌いな俺としては、これだけで少しイラッとくる。 (テスト期間なんだから、廊下で喋くってないで、もっと建設的な事に時間使えよな。) ………なんて、座右の銘が果報は寝て待てである俺が言えた台詞じゃないか。 と、いうか耳を澄ましてみれば聞こえてくる会話はテスト関連。周りに目をやってみれば、自分と同じく昇降口とは真逆、特別教室棟へ足を伸ばそうとしている生徒がちらほら。 よくよく考えてみれば、俺ですら意識しているテスト期間である。その他生徒群が我関せずを貫いているはずもなかった。 ………イライラすると自分本位に周囲を見る。俺の数ある悪い癖の内の一つだ。 (今日はどうにも虫の居所が悪いな) これ以上醜態を晒す前に、さっさと二人と合流しよう。 外界へ向けた意識をシャットダウン。一路図書室へ向かうことにした。
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