一章

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教室と職員室等からなる本棟。今向かっている図書室を始め視聴覚室から化学実験室等、特別教室が連なる特別教室棟。二つの棟は一階の地続きの繋がりだけでなく、それぞれの階に渡り廊下が設けられて、繋がっている。 今現在俺が居るのは三階であり、図書室が存在するのは四階。視界は既に渡り廊下に続く扉を捉えた。合理的に考えて渡り廊下をつかうのが得策なのだけど。 ………それなりに歴史のある我らが校舎は、建て付けがすこぶる悪くなっている。 教室のスライド式の扉は勿論のこと、今俺が触れることを躊躇っているこの外界に繋がる扉もすこぶる調子が悪い。こんなところで無駄な体力を使うのは御免被りたい。 どうしたものかと思案に暮れていると、不意に目の前の扉が俺から離れていく。まぁ、向こうから誰かが扉を引いたってこと。 扉の先には仏頂面をした男が立っていた。 「いつまでちんたらやってんだよ。お前は図書室までの道程に何分かけるつもりだ?」 ………うちの大将でした。ま~た怒らせちまったかも。本当に、今日は間が悪い。 因みに大中はこの扉を、まさに赤字の手を捻るかのように軽々と開ける。 奴いわく、『えぐり込むようにドアノブを捩込み、一気呵成にぶっこ抜く。(ぶっ放す)』のがコツだそうだ。 (………人間業じゃねえよ。) 大中の視線から逃れる為の現実逃避の果て、奴の異常さを再確認してしまった俺は世の理不尽さを、呪った。
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