一章

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まぁ俺のせいだろうがそうでなかろうが、そんなことはどうでもいい。多分。 そんなことを考えるより、今はいち早く図書室へ向かって暖をとることが、最優先事項だ。 「大中の言う通り。ここはさっさと行ってしまうが吉。ってことで………お先!」 言うが早いか、二人を置いて駆け出す。思い立ったら吉日?だ。こんなところで時間を潰している場合じゃない。 「あっ、おいコラ!人を待たせといて先に行くってどういう了見だ!」 後ろで大中が何か言ってるけど、聞こえない、聞こえない。今の俺は暖かい図書室のことで、頭がいっぱいなんだから………! 「二人とも、元気だなぁ………」 ………ため息混じりに呟く細川の言葉も聞こえないし、黄昏れる姿も見えない。 だって俺の頭はもう図書室なんだから!! 寒さでやられた思考回路を持て余しつつも、俺は全力疾走した。 やっぱり、寒い時には体を動かすのにかぎる。何事にも全力を出すのが、体を温めるコツだよな、なんて。 「おい」 「じゃ、体もあったまったところで、開門係・大中頼む」 ………運動神経抜群な大中に追い付かれないわけがないし、開かずの扉の存在を忘れていたわけで。 まぁ、俺の二人を出し抜いて、いち早く図書室へ計画は、一瞬で頓挫しました。 「マジで、思い付きで生きんのやめろよな。こっちが疲れる」 ………なるほど、ごもっともです。 「ホントに、二人とも、元気だね………」 遅れて追い付いた細川と、大中が吐いたため息が、乾燥した寒空に淋しくたなびいた。
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