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まぁ俺のせいだろうがそうでなかろうが、そんなことはどうでもいい。多分。
そんなことを考えるより、今はいち早く図書室へ向かって暖をとることが、最優先事項だ。
「大中の言う通り。ここはさっさと行ってしまうが吉。ってことで………お先!」
言うが早いか、二人を置いて駆け出す。思い立ったら吉日?だ。こんなところで時間を潰している場合じゃない。
「あっ、おいコラ!人を待たせといて先に行くってどういう了見だ!」
後ろで大中が何か言ってるけど、聞こえない、聞こえない。今の俺は暖かい図書室のことで、頭がいっぱいなんだから………!
「二人とも、元気だなぁ………」
………ため息混じりに呟く細川の言葉も聞こえないし、黄昏れる姿も見えない。
だって俺の頭はもう図書室なんだから!!
寒さでやられた思考回路を持て余しつつも、俺は全力疾走した。
やっぱり、寒い時には体を動かすのにかぎる。何事にも全力を出すのが、体を温めるコツだよな、なんて。
「おい」
「じゃ、体もあったまったところで、開門係・大中頼む」
………運動神経抜群な大中に追い付かれないわけがないし、開かずの扉の存在を忘れていたわけで。
まぁ、俺の二人を出し抜いて、いち早く図書室へ計画は、一瞬で頓挫しました。
「マジで、思い付きで生きんのやめろよな。こっちが疲れる」
………なるほど、ごもっともです。
「ホントに、二人とも、元気だね………」
遅れて追い付いた細川と、大中が吐いたため息が、乾燥した寒空に淋しくたなびいた。
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