一章

18/18
前へ
/18ページ
次へ
「それでここはさ、この部分と合わせて語呂合わせにすると覚えやすいよ」 「なるほど。流石は細川。聞けば知識の泉湧く。だな」 「おだてても何も出ないよ。それとなんだか違うよね、そのくだり」 「相変わらず厳しいね。勉強中は。鬼教官って呼んでもいい?」 「もっと厳しくていいなら」 「ごめん、嘘」 小休止からしばらくして、周りが気を散らしているのに気が付いた細川の提案により、現在は会話による粗潰し中である。 とは言っても、一番優秀な細川にこちらから献上できる知識なんてないので、質問専門な俺なのだが。 まぁ細川いわく『教えることで、より意識的に知識を深められる』とのことで、有り難く協力してもらってるわけだ。 「やっぱり細川の話は分かりやすいし、ためになるな。コイツに聞いても非効率で意味不明なだけだからな」 「………余計なお世話だし」 細川大明神の有り難さに心中で感謝している横では、大中が俺を引き合いにして細川を褒めそやしていた。 ヤツの言っていることは事実であるだけに、反論出来ない。 基本的に意味のないこと、間違っていることを言わない大中なだけに、こうして割と真面目な話で非難を受けると俺としては分が悪い。 こういう時は、さっさと流すに限る。 「んじゃさ、次はこっち、ここんとこどう思う?」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加