一章

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一言、尋ねられた。それだけで、それまでに徐々に溜まっていたものが、爆発した。 堤防を決壊させた怒り、苛立ちは押さえ込まれていた反動から、一気に溢れ出そうとする。 でも溢れた思いをそのまま放出するには、時と場所が悪かった。その場で鬱憤を晴らす度胸は自分には無かった。 行き場を失った思いは、頭で溢れて、それでも外にも出れずに、反響して。 耳鳴りみたいに脳裏で同じ言葉が、思いが多重に暴れ回る。 加速したように頭の中が爆発している、無限にも思える一瞬。 拳を振り上げることも、口を開くことも出来なかった俺は、ただただ言葉を飲み込み立ち尽くしていた。 ………停滞した時を再び動かす為に俺が発した言葉は、 「そだね。ごめん、やっぱ俺の方が違ってたかも」 気持ちとは裏腹に謝罪の意を現す言葉だった。
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