一章

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(やっと今日の授業も終わりか~。それにしても、眠い) まだまだ意識が完全に回復していなかったので、帰宅準備にかかる周囲を眺めつつも惰性に身を任せ、机に突っ伏す。 学校というものは何故こんなに眠いんだろう?家のベッド並に睡魔が襲ってくるなんて、絶対におかしいって……… なんて考えながらも、意識は二度寝の為に集中しようとしたところで、肩に何かが当てられる感触を感じた。 一体何だ? 「お前、器用なことするな。起立から礼まで、回りの動きを見事に半拍ずれてトレースなんて。 まぁその不自然さのせいで、逆に俺にはまた寝てたのが分かったけど」 「馬鹿め、それは残像だ。君が見た俺の姿は、皆と完璧に同調した俺の姿が残した虚構の存在なんだ」 声をかけてきた人物に反射的に言葉を返した。 ………いかん、眠かったあまりについつい余計な返しをしてしまった。これだからお前はいつも一言多いなんて言われるんだよな。 と、自分で勝手に反省して自己完結していても意味がないので、机の感触に名残惜しさを感じつつも、体を起こした。 「ごめん、今のなしで。今日もお疲れさん。それで俺に何かよう?」 果たして目の前には男子生徒が一人立っていた。
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