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でかい。その一言に尽きる。
180㎝に至る長身と、身体に見合った筋肉の鎧。とはいえ、無駄な筋肉、所謂見せ筋というものではない。人体に詳しくない自分でさえ、コイツの身体はそういうものではないと分かる。
まぁ、体育の授業でそう感じただけという俺の曖昧な印象だけど。
大中 力(おおなか ちから)
まさに名は体を表すという言葉を実践している人間だ。
短く切り散らかされた(本当に散らかされたような)短髪に、今もまさに鋭い眼光を放っている切れ長の目。なんともまぁそこまで名前に忠実に生きなくてもいいんじゃないかというのは、目下の俺のコイツに対する評価。
ん?いままさに鋭い眼光を放っている?
感じた違和感の元を目で辿る。
………目の前の男と目を合わせると、ゾクリと肌が粟立った。
やばい、コイツ凄い睨んでやがる。怒らせた………のか?
「………大中?」
恐る恐る名前を呼んでみると、眉間に寄せられていた皺が、まるで嘘のように消えた。
「やっと本当に起きたか。下校時間から二度寝なんかしてんじゃねえよ」
ため息まじりに、告げられた。
どうやら怒ったように見えたのは、気のせいだったようだ。まぁコイツの人相が悪いのはいつものことだよな。
「ほいで、俺になんのよう?」
「勉が一緒に図書室に行かねえかって。もうすぐテストだからよ。お互いに不安要素を潰しとこうだとさ」
そう言って大中は、顎をしゃくってみせる。気が付くと、大中の隣にまた別の人間が立っていた。
………またしても、男子生徒である。
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