一章

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「僕はテスト前のこれくらいの時期になると、いつも図書室でテスト勉強してるんだ。今日はよかったら二人も一緒に、どうかなって思って」 「図書室で、テスト勉強か~。ん~、どーしようか」 悩むそぶりを見せつつ、横目で新たな参入者の確認をする。 こんな下校時間に、自発的に自分に話しかけてくる数少ない人間。というかぶっちゃけると二人しかいない。 一人は大中。そしてもう一人が 細川 勉 (ほそかわ つとむ) 名は体を表す俺の知人第二号だ。 大中とは真逆のほっそりとした体の持ち主。170㎝ギリギリの俺と、ほぼ変わらないだけの身長はあるので、やや病弱にも見える。 実際病弱で激しい運動は苦手だ。 ………因みにこれも体育の授業で俺が感じただけの印象。 しかしながら、スッキリとした目鼻立ち。鼻先にかかった眼鏡。目にかかるか、かからないかというサラサラの前髪が、知的クールな印象を与える男だ。 色々な知識が豊富。話題が好きな事柄になるとやや周りが見えずに、語りを始めるという熱い(暑い)一面も持っている。 そんな彼は普段から勤勉な生徒であり、今こうして自分達を自主勉強に誘おうと思い立ったのだろう。 「で、どうするんだよ。行くのか?行かないのか?」 細川の誘いから、彼の人となりにまで思いを馳せていた俺は大中の言葉で我に返った。 ………また、やっちまった。
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