始まり

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行く宛などはない。 安らげる場所などはない。 それでも… 少しの安らぎ場所を求め 【孤独】という名の逃げ道を走った。 近付けば沢山傷付けられ 何度も殺されかけた。 それが嫌われ者の運命。 唯一安らげる場所は 光などない 【闇】と言う名の 【孤独】だけ。 だから逃げるしかなかった。 生まれて初めての 優しさが 温もりが まだ信じられなかった。 だけど どんなに暗闇へ逃げ隠れても 変わり者は付いて来た。 見付ける度に優しい笑顔で話しかけ 同じ言葉を繰り返す。 『大丈夫。 怖くないから。 君は僕とよく似ている…。 一緒に旅をしないか?』 生まれて初めて向けられた人間の笑顔が妙に嬉しくて… どこまでも付いて来る変わり者の言葉が妙に暖かくて… 気がつけば黒猫は逃げる事を止め 変わり者を見つめていた。 「何で俺に優しくするんだ? いつも孤独だった。 でもそれでよかった。 なのに何で…? この温もりに触れていたい…。」
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