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―――それから
2人が出会って2度目の冬。
黒猫はいつもの様に絵描きの側で丸まり
目の前を過ぎてゆく人々を眺めていた。
黒く並んだ絵は滅多に売れず増えるばかり。
女の子『ねぇねぇ。
その黒猫ちゃんは本物?』
いきなり話しをかけられ驚く絵描きに女の子はまた同じ質問を問う。
『あぁ勿論本物さ。
綺麗な黒い毛並みだろ?』
大切な友達を自慢げに紹介する。
女の子『へぇ…。
名前は何て言うの?』
その質問に戸惑う。
長い間過ごしてきたのに名前をつけていなかったのだ。
『ん~…。
そういえばいつもおちびさんって呼んでたな。
名前をつけてあげないとね。』
少しはにかみながら答える絵描きに女の子は無邪気に言い放った。
女の子『不吉な色。
悪魔って感じだね。』
そんな会話のやりとりを無表情で見つめる黒猫。
「悪魔か…。
嫌われ者にはお似合いな名前だな。」
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