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思考よりも先に、僕の身体は反射する。気が付けば、黒く影を落とした木漏れ日は、既に僕の背後で揺れていた。蝉の声がエールに変わる。青い世界から浮上した先輩は、清々しそうに空気を吸い込み、太陽を浴びて煌めいていた。
空中でさ迷った僕の視線と先輩の瞳。プールサイドにひざまづいた僕は、岸に泳ぎ着いた先輩に右手を差し出す。あの時のあの色だけが、今も忘れられない。濡れて頬に張り付いた前髪を気にもせずに、先輩は笑った。それはもう、とびきり可愛かった。
あの衝撃とともに、鮮烈にインプットされた夏の記憶。ふと真冬の帰り道に香ったり、水しぶきに映ったり、今も僕の脳内で、そんな昇華を繰り返すんだ。
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