あっぷる

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 朱くんは“癌”だった。  しかもかなり末期の。  毎日膨大の仕事を  こなす忙しさや、  色々な人から掛かる  相当なプレッシャー。  彼は大丈夫だといった。  忙しいのは俺だけじゃない。  俺以上に忙しい人は  世の中に沢山いる。  まだ、止まる時じゃない。  あともう少し頑張れば  きっと大丈夫だよ。  そう優しく微笑んで  言ってくれたから、  おれはそれをただ受け止めた。  ――でも、  本当はぜんぜん  大丈夫じゃなかった。  身体は相当な  悲鳴を上げていた。  おれはそれに  気付けてやれなかった。  メンバーとして、  リーダーとして、  恋人として。  おれはそれに  気付いてやれなかった。
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