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握りしめられた由夏の拳にそっと触れる。
強張って固い右手の指の一本一本をほどいて、俺の指を絡める。
俺の手も震えていた。
祈るよ、由夏さん。
いつでも祈るよ。
世界のすべてが、あんたに優しくあるように。
由夏の左手が、ためらうように俺の涙に触れる。
そっとなぞられた唇の輪郭が、熱を持っていた。
手のひらを口元にあて、俺の呼吸を確認するように、息に触れている。
――声に、触れている。
あぁ俺は今、初めて由夏に抱かれたのだと思った。
不器用な、その手に。
「クリスマスプレゼント、受け取って、由夏さん」
ずっと、シビックのダッシュボードに入ってるんだ。
指輪、なんだよ。
受け取って。
今度ははずさないで。
はずさせないから。
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