突然の訪問者。

2/21
前へ
/78ページ
次へ
「うぐっ…えぐっ……うう…ううっ」 真っ暗な闇の中には一人の少女がたたずんでいた。 光る涙を頬に伝えながら、必死に嗚咽を堪えている。 私は、儚げな少女を見ていた。 少女は手で顔を覆っていた。 その手に涙が伝い、苦しそうにしている。 …………ああ、この子も……。 辛い、辛い過去を抱えて生きている。 彼女も自分の立場を分かり、それでもと、コンクリートのひび割れから生えている雑草のように生きているんだろうな… それも勇気だと思うし、意地だと思う。 私も、この前まではそうだった。 でもね、私は… 違う勇気も持ったんだよ? 死ぬ勇気を。                   
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加