幻想入り

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この男は昼間、 上司「君は明日から来なくていいよ」 そう上司に告げられていた。 ?「もう何社目かなぁ……」 作業着姿のこの男は、ポツリと呟きながら暗い夜道を歩く。 手にはコンビニ弁当の入った袋のみ。 ?「どっか俺が活躍出来る世界無いかなぁ……」 またポツリと呟く。 クビになったのが相当辛かったようだ。 ?「ふふふ、聞~いちゃった、聞いちゃった♪」 そんな男の耳に澄んだ女性の声が聞こえてきた。 その声を聞いた男は、辺りを見回した。 その正体はすぐに見つかった。 振り向いた方の2メートル先に、彼女は居た。 彼女は、金髪の少しウェーブのかかったセミロングに、白い帽子を被り、その帽子には赤いリボンが付いている。 服は紫のドレス、足元はハイヒール。 そして、真っ白の日傘を手に持っていた。 ?「アンタか……今の声……」 ?「えぇ、そうよ。取り敢えず貴方、幻想郷に来なさいよ」 ニヤリと怪しく笑う女性。 男はその笑顔に恐怖を覚え、反対を向いて走り出した。 ?「どこへ行くのかしら?」 走り出した先に、後ろに居たはずの彼女が居た。 ?「ひっ!?何でそこに」 走るのを辞め、立ち止まってしまう。 男の中に更に恐怖が溢れてきた。 女性はクスクス笑っている。 ?「覚悟なさい」 女性は冷たい笑いを浮かべ、左手で空を切る。 すると男の足元に亀裂が走り、黒い空間が現れた。 ?「なんだ……う……うわぁぁぁぁぁぁぁ……」 男は黒い空間に飲み込まれ、その場から姿を消した。 女性は笑いながら一言、「あの男、楽しみね」と、そう言って、自分も黒い空間に入って消えていった。
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