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ジュネは再び小さく溜め息を零し、ベッドへと歩み寄った。
「レイ、朝よ。起きなさい」
声と同時に布団の塊を揺すると、ズレた布団の端から端正な横顔が現れた。
絹糸のような銀糸がさらりと揺れる。
もう一度強く揺すれば、小さな呻き声とともに瞼が震えた。
長い睫毛の下から紫水晶の輝きが零れ落ちる。
パチパチと眠気を払うように瞬きするとゆっくりと寝返りを打ち、その紫玉に金と蒼を映した。
「おはよう、レイ」
「………おはよう、ジュネ」
体を起こしたジュネに合わせてベッドから起き上がる。
まだ少し寝ぼけているようで、ぼうっとしているレイに銀フレームの細眼鏡を差し出した。
「…ありがと」
「朝食の用意をするから顔を洗ってきたら」
「…あー、うん…」
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