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「くっ」
敬太は、歯を食いしばりそれに対して答えなかった。
「あんたヤッパリ、アイツより強いな………」
言葉の最後には、フミの目の光は消えていた。
アイツとは?紅翼の魔術の事か?
事切れたフミ、ルーフと敬太の間に冷たい空気が流れ、口を開くことを躊躇う程に重い気分になる。
完全に魔術師の生活で、殺す事を躊躇わないはずのルーフが、こんな気分になったのは、敬太の感情が、流れ込む程に淋しそうな背中のせいだろうか?
敬太?
ルーフが、思わず覗き込もうとすると、敬太は、普段と変わらない表情で、ニヤリと笑う。
「さっきの説明歩きながらでいいか?」
ルーフは、それ以上は問わず、敬太に頷いた。
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