4397人が本棚に入れています
本棚に追加
フミをそのままに残し、敬太とルーフは、歩き始めた。
「さっきの魔方陣は、禁術で、一度発動すると、全ての物質、ミクロ単位のものまでぶっ壊す猛毒。
言うなれば、普通世界の細菌兵器みたいな感じだな……。効果は3日程だが、空気が流れるあの場所では、瞬く間に、魔術世界全域へ広がるだろう。
だから、何としても発動させるわけにはいかなかったんだ。」
結界も使えないとなれば、あとは、時を止めるだけだが、発動間近のあの状態じゃ、間に合う確率は下がる。
敬太が、あの黒い棒を半分処理してくれていると思っているルーフの脇腹は、がら空きになり、串刺しの出来上がりだ。
敬太が府に落ちていない事は分かっている。
彼なら、フミも助けられる方法を最後まで考えただろう。
しかし、その敬太が、フミを殺す事を選んだのなら、それしかなかったのだろう。
「もう、こんなのゴメンだからな!あんな恐ろしい空間移動、二度と俺を巻き込むな!」
ルーフの訴えに、敬太は、振り替えると、ニヤリと笑う。その表情は、何か企んでいる感じがした。
「なんだよ……」
最初のコメントを投稿しよう!