THE END OF THE WORLD

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 広々とした高級そうな店だった。内装もシックな色合いで落ち着いていて、中華料理店という雰囲気はまるでなかった。フランス料理が運ばれてきてもおかしくないくらいだ。  彼女が名前を告げると、窓際の席へ案内された。 「嫌いなものある?」 僕がウェイターから渡されたメニューを広げようとすると、彼女が聞いてきた。 「いえ、特に」 「じゃ、このコースを2つ」彼女がウェイターに伝えると、ウェイターはかしこまりましたと、僕のメニューも持って行ってしまった。 「あ、ごめんなさい。勝手に決めちゃって」 「いえ」 どうせ僕はメニューを見ても上手く決められないに違いない。  コースはいくらぐらいするんだろう。僕は財布の中を頭で計算した。おごってもらってばかりいられないし…などと考えていると、白い磁器に入ったお茶が運ばれてきた。
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