THE END OF THE WORLD

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「残念ね。晴れていると、遠くまで綺麗に見えるのに」 彼女は僕の器にお茶を注ぎながら言った。一面ガラス張りの窓からは、街を広く見渡せたが、先は白く煙っていた。 「でも充分いい眺めですよ」 「夜になるとさらに綺麗になるの」 「ですね、きっと…」 僕たちはしばらく外を眺めていた。 「あ」彼女が空を見た。 「雨」 「え?」僕は目をこらして外を見た。かすかに白い線が落ちていく。 「ほんとだ」 「良かった」 「え?」 「これ」彼女は、僕があげた傘を差して笑顔になった。 「本当にありがとう」そう言うと彼女はにっこりと笑った。 今この空間が一瞬明るくなった気がした。曇り空に晴れ間が広がったかのように、ほっとする暖かな気持ちが胸にじんわり広がった。 恋という言葉が一瞬頭をかすめた。 恋?相手は人妻だ。こんなに若くて綺麗だけど、人のものに手を出すなんて。 それに…。僕は透明なガラスを隔てて落ちていく細い線を見ながら思った。 それに…僕には恋人がいる。
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