THE END OF THE WORLD

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 僕たちは不思議に落ち着いた空間で、お互いのことを話した。 マスターの両親は大金持ちで、喫茶店はほとんど趣味でやっているらしい。 また、2人の間に子供はなく、彼女はたいてい一人で過ごしている。 マスターとは家に帰っても、あまり話をすることもないのだという。 「家にいても一人だし、よく散歩に行くの」と淋しげな笑顔で彼女は言った。 僕の方は、就職した会社を1年で辞め、今はフリーターをしていること、小さなアパートに住んでいて、よく料理を作ることなどを話した。  8才も年上の女性とこんなに話をしたのは初めてかも知れない。何か同年代の子にはない品や落ち着きがあり、とても居心地が良かった。  自分を必要以上に強く見せたり繕うこともなく、自然でいられる。相手に対して、何かを押しつけたり期待しすぎたりもせず、安心していられる。 初めての女の子と話をする時のように探りながらの会話でもないのだ。
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