丸昴

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タクシーを下りてから、俺の部屋を見た。 普段なら俺がいくら遅くなっても電気が付いていて、丸も起きていてくれる。 たとえそれが夜中の2時だろうが3時だろうが。 でも今日はまだ12時前だっていうのに消えている。 一気に酔いは冷め、やっぱり忘れているのだろうかという淋しさと、いつもと違う対応の苛立ちとで自然に早足で部屋へと向かう。 部屋は無用心にも鍵が開いていた。 部屋に入っていつものように丸がおかえりと笑顔で言ってくれることもない。 電気を探しスイッチを押す。 暗かった所から急に明るくなったせいか、目がしばしばした。 慣れてくると周りの様子が見えてくる。 そこにはいつもの部屋とは違った。 綺麗に飾られてあった。 まるで誕生日パーティーをするかのように。 呆然としながら部屋の奥へと進んで行く。 今朝朝ごはんを食べたテーブルにはおいしそうなケーキが置いてあった。 そしてテーブルの上で丸が寝ていた。 .
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