Episode1 ミナミの思い出

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出発を明日に迎えたある夜。 友達みんなで送別会を開いてくれた。 場所はミナミのカラオケ屋。 近鉄と千日前線を使えばすぐ行ける大阪市の繁華街は、思い出の場所だ。 「ミナミも随分変わったなぁ」 「10年前はこんなにビル建つとは思ってもみぃひんかったなー」 「でも相変わらずゴミゴミしとるわ」 みんなの口調が異様にしみじみとしている。 …俺ってそんなに愛されてたの? 「あれ、和那は?」 「え…」 俺の恋人がいねーっ!! 突然の転校にキレてるとか!? それとも悲しくて家に引きこもってるとか…? それとも… 「和那、熱出して寝込んでる言うてた」 …なんだよ。 「アイツ、運ないなー。ダンナの送別会に顔出されへんとか、マジ無いで。」 親友の圭介のこの一言で、みんなの雰囲気が良くなった。 「っしゃ、歌うどー!!」 「うぉー!!」 和那とよく遊びにきたこのミナミの街とも、もうお別れか…。 ブルーハーツの『人にやさしく』で、大阪最後の大宴会は幕を閉じた。
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