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出発を明日に迎えたある夜。
友達みんなで送別会を開いてくれた。
場所はミナミのカラオケ屋。
近鉄と千日前線を使えばすぐ行ける大阪市の繁華街は、思い出の場所だ。
「ミナミも随分変わったなぁ」
「10年前はこんなにビル建つとは思ってもみぃひんかったなー」
「でも相変わらずゴミゴミしとるわ」
みんなの口調が異様にしみじみとしている。
…俺ってそんなに愛されてたの?
「あれ、和那は?」
「え…」
俺の恋人がいねーっ!!
突然の転校にキレてるとか!?
それとも悲しくて家に引きこもってるとか…?
それとも…
「和那、熱出して寝込んでる言うてた」
…なんだよ。
「アイツ、運ないなー。ダンナの送別会に顔出されへんとか、マジ無いで。」
親友の圭介のこの一言で、みんなの雰囲気が良くなった。
「っしゃ、歌うどー!!」
「うぉー!!」
和那とよく遊びにきたこのミナミの街とも、もうお別れか…。
ブルーハーツの『人にやさしく』で、大阪最後の大宴会は幕を閉じた。
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