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東大阪市の自宅に戻った俺は、荷物を運び出されて何もない部屋で一夜を過ごした。
なぜに素直に寝たと表現しないのかって?
…眠れなかったんだよ、俺は。
大阪を離れる寂しさからじゃない。
もう和那にしばらく会えない悔しさからだ!!
気のせいだろうか、修学旅行の前夜と同じ気分だ。
…うれしいのかな?
…そりゃ無いよな。
…眠れない。
翌朝、歯磨きセットとタオルしかない洗面所で鏡を見ると、案の定目の下にクマができていた。
ピンポーン。
…誰だろ。
玄関のドアを開けると、息を切らした和那が立っていた。
「和那…」
いきなり抱きついてきた。
「お前、すごい熱やないか…!家で寝とかんと…」
「瑛ちゃん…」
「…?」
「…向こうで……彼女とか作ったら…承知せんよ…」
「………」
「私、待ってるから…」
「……………うん」
のぞみ4号東京行の時間が近づいていた。
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