Episode1 ミナミの思い出

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東大阪市の自宅に戻った俺は、荷物を運び出されて何もない部屋で一夜を過ごした。 なぜに素直に寝たと表現しないのかって? …眠れなかったんだよ、俺は。 大阪を離れる寂しさからじゃない。 もう和那にしばらく会えない悔しさからだ!! 気のせいだろうか、修学旅行の前夜と同じ気分だ。 …うれしいのかな? …そりゃ無いよな。 …眠れない。 翌朝、歯磨きセットとタオルしかない洗面所で鏡を見ると、案の定目の下にクマができていた。 ピンポーン。 …誰だろ。 玄関のドアを開けると、息を切らした和那が立っていた。 「和那…」 いきなり抱きついてきた。 「お前、すごい熱やないか…!家で寝とかんと…」 「瑛ちゃん…」 「…?」 「…向こうで……彼女とか作ったら…承知せんよ…」 「………」 「私、待ってるから…」 「……………うん」 のぞみ4号東京行の時間が近づいていた。
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