#1-年明け

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それでも今、彼はこうして私の隣にいる。 「どうした?」 いつの間にか空になってしまったグラスに、新しいワインを注いでくれた。 「綺麗。」 「うん。」 「でもこれで‥」 グラスに軽く手を当て小さく首を振った。 「強いのに?」 「強くない。」 「俺よりは強いよ。」 少し不機嫌そうに、わざとワインをぐいっと飲んだ。 「ごめん。」 「全然強くないの。」 「うん。」 苦笑いの彼はとても暖かかった。 「なぁ‥」 「ん?」 「今度、弟に会ってほしいんだ。」 「うん。」 彼に弟がいることは以前何かで聞いた。 「いいかな?」 「もちろん。悠ちゃん?だっけ?」 ちゃん付けで呼ぶ私にまた笑う。 「そ、悠ちゃん。」 「どんな子?」 「可愛い子。」 ブラコンな事にはとっくに気づいていた。 「ふうん。」 「気持ち悪いって思ってるだろ?」 まさか、と首を振る。 どれくらい可愛い子なのか好奇心しか持っていない。 「最近、やっと心を開いてくれた気がするよ。」 「仲悪かったの?」 「いや、そういうんじゃないけどな。」 .
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