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弟の話しをする彼を見るのが好きだ。
優しくて強いお兄さんなのがよくわかる。
「楽しみだわ。」
「良かった。レストラン予約しとく。」
「うん。」
カチンとお互いのグラスを寄せ合い、2人して一気に飲んだ。
「シャワー浴びる?」
「うん。」
「一緒に?」
「ううん。」
「あ、そ。」
「うん。」
元々そんな気無いくせに。
少し微笑んだ彼を愛しく感じた。
さっさとバスルームに向かい、熱いシャワーを浴びた。
この光景が信じられないような、それでも知っていたような。
不思議な感じだった。
初めから凄く溶け込んでいる。
ピタッとパズルがはまったような、そんな感じによく似ていた。
全てをわかった上で私を受け入れてくれた彼。
きっと頭がおかしいんだわ、と本気で思う。
本人もよくわかっていないようだった。
キュッと蛇口を締め、バスルームを出ると電話で話しているような声が聴こえた。
話し方から察するに担当の医者だ。
年が明けたばかりのこんな夜中に。
「もちろんですよ。はい、はい。ええ‥」
相槌ばかりで内容はよくわからない。
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