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2人は、最初から特別なわけではなかった。
絶望にも似た過去を持ち、それを速度で突破してきた2人。
今や全世界の人間が、この2人に視線を注いでいた。
天使と悪魔の、一騎打ち。
彼女は、墜走の覇者。
墜走においては、世界最高難度の都市を制覇し、世界最強の赤色すらも射程に捉えた、圧倒的な速度を持つ少女。
「あなたこそ、いつまで思い上がっているつもり? 《漆黒の聖魔》だったかしら。名前負けにも程があるわよ。太陽に近づきすぎた存在は、例外なく焼き尽くされるだけなのに」
まさに漆を塗ったかのような、艶のある長い黒髪。
純白の衣装を纏った彼女は、幼さの残る顔立ちだが、凛然たる気配を放っていた。
そして、その背に背負う――……黒の翼。
禍々しい気配すら放つ両翼は、彼女の小柄な体つきを補うように、巨大に広がっていた。
《純白の堕天使》
謠羽瑠音。
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