第1章

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さ、さすがに少しやり過ぎたかな……。 反省して先輩から身体を離すと、振り返った先輩は顔を真っ赤にしていた。 「いきなり何てことするのよ! は、恥ずかしいじゃない!!」 「す、すいませんすいません!」 「(もう――……素直に離さないでよ……っ)」 「え? 何か言いましたか?」 「何でもないわよっ。いきなり抱き着いて来るような変質者にかける言葉なんかないわ」 うっ……! や、やっぱりいきなり抱き着いたのはまずかったかなぁ。先輩怒ってるよー……。 「れ、礼」 「うぅ……何ですか?」 かなりヘコみながら顔を上げると、寒さのせいだろうか、先輩が真っ赤な顔をして、僕の顔を見つめていた。 「て」 「て?」 「だ、だから……っ。て」 「いや、てって何ですか?」 素直に聞き返すと、先輩は焦れったそうな表情で頬を膨らませた。 「わ、私、今日手袋忘れちゃったのよ。おかげで手が寒いの。何とかしなさい」 見ると、先輩は確かに手袋を嵌めておらず、見るからにかじかんでとても寒そうだ。 僕は自分の手袋を外すと、それを先輩に向かって差し出した。 「はい、どうぞ。僕のなんかで良かったら、使ってください」 しかし、僕の対応は先輩が望んだものではなかったらしく、先輩は不機嫌そうに眉間にシワを寄せる。 「突然抱き着いてくる変質者のくせに、どうしてわからないのよっ」
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