言葉のゴミ箱(起)

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講師が入ってきたので、おしゃべりが一旦終わる。 明るくなったというのは、なんとなく自分でもわかっていた。 簡単に言えば、よく笑うようになった。会話に入れるようになったのだ。 言いたいことをすべて飲み込む性格のため、ときには必要な言葉すら飲み込むことがあった。挨拶や相槌なんかも消化した。それがなくなったため、話す回数が格段に増えた。 もっと早くあのゴミ箱と会いたかった。そうすればもっと明るくなり、彼女もいたかもしれないのに。 どれもこれも、この性格のせいだ。この性格が無くなれば、もっと明るく……なれ……る。 「…………そっか」 講義の最中、ある考えがずっと頭に浮かんでいた。 要らない言葉……ね。  
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