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「おれらが降りてくる時はまだ寝てたぜ」
泉はテレビから目を離さずに答えた。
画面ではニュースキャスターが淡々と原稿を読みあげている。
水谷はその様子をみてテレビのリモコンをとった。
「えい」
ピッという電子音と共にキャスターの姿が消え軽快な音楽が流れ始める。
いわゆる特撮ヒーローものだ。
「あぁーーっ!!てっめぇなにすんだよ!!馬鹿!」
かってにチャンネルを変えられて憤慨する泉。
水谷から必死にリモコンを奪おうとするが、いかんせん高校生と小学生。どうにも身長が足りない。
くやしがる泉をしりめに、水谷は「だってぇ~」と口をとがらせる。
「日曜の朝は特撮ヒーローって決まってんのっ!ニュースなんて邪道!!」
「別に決まってねぇだろ!!いいから返せよ!」
「やだもんね~~~」
水谷はそういうと、小学生の泉では届かないであろう棚の上にリモコンを乗せる。
「マジウッゼー!!」
そんな二人を見て栄口は
「泉、水谷はどーーしても見たいんだって。ここは泉が大人になって譲ってあげな?」
騒ぐ泉の頭にポンと手を乗せる。
今の栄口の発言に水谷は「ひどっ!それじゃまるで俺のほうが子供みたいじゃん!」などと半泣きだ。
まだ納得いかないのか、唸る泉にもう一度「ね?」というと、やっと諦めた様子で舌打ちをした。
「チッ………わかったよ。しょーがねーなー」
その姿に栄口は「えらいえらい」と頭を撫でた。
「なんか納得いかなーい」とむくれる水谷に阿部は一言「ガキ」とはきすてる。
「なんだよ!阿部だって仮面ライダー好きじゃんか!」
「黙れクソレフト」
「今はレフト関係ないでしょーっ!!」
……なんだかまた騒がしくなりそうだ。
「さてと、んじゃ俺田島たち起こしてくんね。」
そういうと栄口は廊下へと続くドアを開けた。
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