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花井は栄口の言葉に少し照れたように笑うと
「さてと……」
と今まで自分が寝ていた布団を畳みはじめる。
因みに田島は肩にしがみついたままだ。
「たまには」なんていうが、花井はかなり家事を手伝ってくれていると栄口は思う。
仕事が早く終わった日は真っ直ぐ家に帰ってきてちび達の食事の世話をしてくれるし、風呂だってそうだ。
あとは食器を拭いてくれたり洗濯物を畳んでくれたり………
……………。
花井がいてくれなかったら今頃俺倒れてんだろーな……
なんてしみじみ思っていると、布団を片付け終わった花井は、ずっと肩にくっついている田島をみた。
「おーい田島っいい加減降りろよ!」
動きにくい!!といって自分の背中から降ろそうとするが、
田島はよじよじとのぼってきて花井の頭に手をつくと坊主頭をペチペチと叩いた。
「えーいいじゃん!花井に乗ってるとスッゲェ高いんだもん!!」
へへーっと得意気に笑うと
「それに三橋も栄口にだっこしてもらってんだからおそろいだろー」
三橋は栄口の腕の中でキョトンと「?」を浮かべているが、田島は全く気にしないらしい。
「なーなー!はやくメシ食おーぜ!オレはらへったー」
ほら早くいこーぜ!
とまたもや花井の頭をペチペチ叩く。
「だぁあっ叩くな!!」
「花井!叩けば毛ぇはえるかもってテレビで言ってたぞ!!」
「ば…っ!!オレのは坊主頭!ハゲとはちげーのっ!!」
ハゲと同じくくりにされて憤慨する花井に田島は真顔で答えた。
「毛ぇないのは同じじゃん」
「ちげーっつーの!!」
花井はとにかく田島を引き剥がそうと躍起になる。
おまえいい加減降りろーーーっ!!
いーやーだーーーーー
イテテっ叩くなってんだろ馬鹿!
ばかってゆーほーがばかなんだぞ!!
な……っ!おまえ屁理屈ゆーな!!
……………………
二人を見守っていた栄口だが、まだ暫く終わらなそうだと判断し、ふー……っと息をついた。
「…………行こっか三橋」
お腹すいたねー?と三橋に笑って話しかけながら騒がしい和室をあとにした。
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