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良い匂いがする
これ は
栄口の………
「水谷!いい加減起きなよっ!ほら阿部も!」
いきなりくるまっていた毛布をひっぺがされて水谷は慌てて飛び起きた。
目の前には見慣れたエプロンをつけた栄口の顔。
ああ
これ味噌汁の匂いだ
具は 大根と豆腐と油揚げ…
俺あの味噌汁が一番好きなんだよね
水谷は上半身だけ起こした状態でボーッと味噌汁に思いをめぐらせている。
その脇ではこれまた毛布をとられた阿部が不機嫌そうにムクリと起き上がった。
「二人ともそろそろ起きて!ご飯もう出来てるよ」
未だ眠気が残っているのか、ボーッとする二人に栄口はもう一度声をかける。
しばらくそのまま待っていると阿部が先に立ち上がった。
それを見て栄口はにこっと笑いかける。
「阿部、おはよ」
「………………ん」
阿部の反応が薄いのはいつものことだが、少し不思議におもい声をかけてみる。
「今日は一段と眠そうだね。昨日何時に寝たの?」
「……………3時」
「3時!?なんだってまたそんな遅くまで………」
すると更に不機嫌そうに眉を寄せ、未だ布団の上でボーッとしている水谷を一瞥した。
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