蕾‐ツボミ‐

4/6
前へ
/17ページ
次へ
「ゲホッ…どうして…ゲホッ」 俺は呆然としていた。 「ハァ…ハァ…明…聞いて…」 光海は辛そうな顔をして口を開いた。 「覚えている…かな? 私達ずっと前に1度出会ってたんだよ?」 「それって…まさか…あの時の?!………うッ」 ドサ 今後は俺も倒れてしまった。 「そう…種をくれたよね??」 光海の呼吸が荒くなってくる。 「あぁ…」 段々俺は意識が朦朧としてきた。 「あの種…ワスレナソウっていうんだよ…毎年春頃…私の庭で沢山咲くんだ…」 「そうなのか…」 「う…ん…あの…さ…」 光海はもう俺と目線が合わない程弱っている… 「なん…だ?」 「手…繋ご?」 「わかった…」 俺はぼやける視界の中光海の手を探して、ゆっくり手を握る。 光海もゆっくりと手を握ってくれて笑みを浮かべた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加