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ぶらぶらと城の廊下を歩いていると、前方に楽しそうに会話をしている女性魔族のグループが目についた。
「…彼女達に聞いてみるか……」
ほとんど投げやりな口調だった。
近付いて声を掛けようとした瞬間、その中の一人が月黄泉に気付き、皆一斉に跪いた。
「…あ…あの……。そんなに、畏まらなくても結構ですよ。どうか…、楽にしてください。」
そう言うと彼女達は立ち上がった。
「それで…、何か御用でしょうか?王子。」
「あ、えっと…。屡迦殿を見ませんでしたか?」
「屡迦様ですか…?」
誰も見て居なさそうな雰囲気だった。諦めようとした時にそのうちの一人が月黄泉に声をかけた。
「あの、あたし、数十分程前に、屡迦様とあそこの階段ですれ違いました…!」
何気なく行き先を尋ねたところ、上へ行くと答えたと言う……
「上…か……」
「でもこの上ってぇ、物置部屋があるだけでしょぉ?」
「誰も寄り付かないっていう、あそこ?」
「えぇえ?!あそこって、オバケが出るんでしょぉ?」
「バーカ!魔族がそんなモン怖がってんじゃないよ!」
「あ、あの…、ありがとうございました。とりあえず、私も上へ行ってみます」
一礼をして、月黄泉はその場を後にした。
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