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物置場へ
長く続く階段を、月黄泉は一段一段上っていく。
彼自身、この階段を上るのは初めて。物置部屋があることは聞いて知っていたが、何が置いているのかは全く知らない。
そんな場所へ、屡迦は何の為に向ったのか…。
考えれば考えるほど、解らなくなっていた。
ようやく、終わりが見えた。物置部屋の扉だ。
古く、今にも崩れそうだが、最近開けられた形跡がある。
屡迦だろうか……
「………」
そっと扉をゆっくりと開けた。ギシギシと、今にも壊れそうな音を立てる。
一歩足を踏み入れた途端、あまりの埃っぽさに咳き込み、盛大なくしゃみをした。
「うぅー…。な、何てヒドイ…。………っぷしゅん!」
鼻と口元を覆いながら、辺りを見渡した。
そこには随分と古い剣やら楯やら槍やらの、武具系統の物が無造作に置かれていた。
勿体ないと思いながら、また辺りを見渡してみる。
「…ん?これは…」
明らかに武器ではない物を見付け、それを手にした。
たっぷりと埃を盛ったキャンバスだ。
何が描かれているのかと、月黄泉は埃を払いはじめた。
だんだんと姿をあらわす絵。
そこには見覚えのある茶色の髪と青い瞳を持つ少年。
間違いなく、生まれて間もない頃の屡迦だ。
月黄泉は更に埃を払った。屡迦の両隣に、男性と女性の体が見えてきた。
これは彼の両親か。
上の方を払ってみる。屡迦の両親がどんな人物かと、少しワクワクしながら。
しかし、その期待はすぐに崩れた。
両親らしき2人の顔が無かった。そこだけ、破り取られた様な跡があった。
「何故…」
誰が、何の為に…?
解らないまま、無心にそれを見つめていると、何処からか、何か凄い音が聞こえた。
「……何…だ…?」
月黄泉には何の音かは解らないが、とにかくその音が何処から聞こえているのかと、耳を澄ませる。
「…上…?!いや、そんなはずは……!」
この上には、急斜面な屋根があるだけだ。
この部屋からそんな所へ行ける様なものは……
「……あれは…」
部屋の隅に梯子を見つけた。
近寄って天井を見上げてみると、いかにも開けられますよと言わんばかりの把手があった。
「…行ってみるか…」
梯子をのぼるのは初めてなので、少し不安になりつつも。震えながらゆっくり、上っていく。
上に行く程、音は大きくなっていく。ここで間違いなさそうだ。
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